アルマン・ディアンゲンダ氏インタビュー

Music Beyondの藤井香織が、キンバンギスト交響楽団の創立者であり指揮者の、アルマン・ディアンゲンダ氏にインタビューしました。彼のアイディアと哲学こそが、このオーケストラコミュニティのエッセンス。こんな素晴らしいコミュニティの音楽家たちを教えられて光栄です!

 

【日本語訳】

Q: 何がこれまで21年間、オーケストラを続けるモチベーションになっていたのですか?

A: もともとこのオーケストラは、単に人を集めて音楽をするために始まりました。でも時間と共に、このオーケストラがインスピレーションの源になってきていることに気付いたのです。そしてその事実こそが、人々にメッセージを発信し続けるモチベーションとなりました。ですから現在に至るまで、同じ目的でやってこれています。

 

Q: どのようにモチベーションを上げ続けているのですか?

A: 先に述べた通り、このオーケストラは若者にとってインスピレーションの源になっています。そして今日私には、オーケストラを通して、若者たちが個人個人の道を探すお手伝いをする義務があると感じているのです。人生全般、仕事、情熱・・すべてを含めての道探しです。

 

Q: 現在このオーケストラには総勢200名を越えるメンバーが所属しています。どうしてこんなに大きくなったんだと思いますか?

A: まず言えることは、多くの若者は、このオーケストラの持つイメージに憧れてやってくるということ、チームとして何かを成し遂げるというイメージです。そしてそのイメージが、教練・鍛錬する、という感覚も植え付け、最終的に人生においてある一定の域に到達する手助けをしています。

 

Q: このコミュニティーは誰でも入れているのですか?

A: はい、私たちはみんなを受け入れます。確かにこのオーケストラは教会が元になって作られたものです。でも、私たちは、音楽を学びたいと思う全ての人たちを受け入れています。理解を深めるためには、まずお互いを知ることが大事だと信じています。ですから、まずは誰でも受け入れるのです。この精神が、外国人からの注目を浴びるきっかけにもなっているのかもしれません。人々に我々の活動を知ってもらうためにも、私たちはいつでも、みんなを両手を広げて受け入れています。

 

Q: 近年、このオーケストラは世界各国のメディアから注目を受けるようになり、ディアンゲンダさんは幾つかの賞もとりました。ですが、みんな本当に謙虚!どのように、その謙虚さを保ち、またなぜ謙虚な姿勢が大切だと思うのですか?

A: 人々は、ある観点から私に賞を下さったのです。そして、私の仕事は、普遍的な精神性を表すからこそ、いつまでも謙虚でいるべきなのです。ですから謙虚な姿勢は本当に大切です。この人間性を忘れた日に、失うものはとても大きいのです。

 

Q: このオーケストラの役割は何ですか?

A: 先にも言いましたが、まず最初の役割は、人々を繋げること。そして今日に至っては、オーケストラには、貴重で普遍的なメッセージがあります。そのメッセージとは、愛、平和、それから人々に違う観点からものを見る手助けをすること。ここには、たくさんのネガティブなイメージや解釈が根付いています。ですから、私たちはオーケストラを通して、世界の人々に違う観点をお見せしたいのです。

 

Q: ネガティブなイメージや解釈とは?

A: アフリカについてまわるイメージは、貧困・戦争・暴力・・・。でも、ここにだって、いいこともあるんだということをお見せしたいのです。そしてそのいいこと・・例えばこのオーケストラの持つ教練からくる自制心をコミュニティに発信できたなら、次は国に発信し、いつかは世界中に・・。そして教練という感覚こそ、人々のためになるポジティブさにつながるのです。

 

Q: 世界の人々へメッセージをお願いします。

A: オーケストラとの関係を通してのメッセージを一つ。私にとって、オーケストラの大好きなところは、オーケストラはたくさんの違う楽器とたくさんの異なる楽器群で形成されている、ということ。そしてその違いに関わらず、全ての楽器で一つのハーモニーを作り出すということ。同じように、世界中にはいろんな違いがあり、個々の国や人々にもたくさんの違いがある。でもどんなに違っていてもみんな共存できるのです。助けが必要なときもありますし、誰かがあなたの助けを必要としている時もあるのです。それが、私のみなさんへのメッセージです。

 

藤井香織: ありがとうございました!

ディアンゲンダ: どういたしまして!こちらこそありがとう。私のオーケストラを助けてくれて、フルート奏者たちのレベルを上げるお手伝いをしてくれて・・。資金繰りができて、旅をオーガナイズできますように、といつも祈っています。旅にかかる費用、飛行機代、滞在費・・どんなにか大変でしょう。どうか、これからも引き続き、私たちの元に来て、私たち音楽家のレベルを引き上げてくれますように。

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